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自分を変えるのに、自己肯定感が重要な理由

自分を変えたり、自分の生活を変えたりするにあたって、自己肯定感がどうしてそんなに重要なのでしょうか?

不登校の子が学校へ行けるようになるのに、まずは自己肯定ができることが大切、と聞いたのですが……。

細川院長

それは、防衛バイアスと自己肯定化理論から説明されます。

防衛バイアス?

細川院長

防衛バイアス(defensive bias)とは、「自分に脅威のある情報の影響を、最小限に食い止めようとする傾向」のことです。

人は変わらなければいけないとき(現在の生活を変えなければいけないとき)、そうしないための理由付けを考えます。

言い訳、ということですよね。

細川院長

言い訳とは少し違います。

言い訳は他者を説得するためのものですが、この場合、つまり自分で自分を説得してしまう、簡単に言えば、自分をだまし、自分でもそう信じこんでしまうわけです。

それが、「防衛バイアス」というわけですね。

そこに、自己肯定感はどう関わってくるのですか?

細川院長

私たちには、「自分は自分にとって意味のあることをしている、できる」という自尊心があります。

でも、「変わる(生活を変える)」ことが自分にとって大きな意味があることなのに、それができない自分に気づいたとき、私たちの自尊心は大きく傷つけられます。

そんなとき、私たちは自分の自尊心を傷つきから守るために、どうするでしょうか?

あっ、わかりました!

何度も話に出てくる「認知的不協和」ですね!

細川院長

そのとおりです。
これは「認知的不協和理論」で説明できます。

認知的不協和を感じた私たちは、その心理的ギャップを埋めようと、自分の行動(この場合は生活を変える)ではなく、認知(変えなければいけない理由がある)の方を変えてしまいます。

自分の行動を変えるよりも、認知を変える方が手っ取り早いからです。

そして、「自分は自分のために行動を変えなければいけない」という考えを、「自分が行動を変えないのは、変えるだけの意味がないからだ」という考えにすり替えてしまい、自分を騙してしまいます。

長期的には自分にとっては有害であっても、短期的には自分の自尊心を守れることから、一つの認知的対処法であるこういった方法を、私たちは取ってしまうわけです。

自分で自分を騙してしまうのでは、「こうした方があなたのためですよ」、といくら論理的に説得しても行動を変えることは難しそうですね。

「学校に行くのはあなたのため」と説得しても全然響かないのはそういうわけなんですね。

では、どうしたらいいのでしょうか?

細川院長

「自分にはできない」と感じて、自尊心を守るために「しない理由探し」をする人にとって大切なのが、「自分にはできる」、つまり自己効力感を高めることです。

自己肯定的な活動をおこなうことで、防衛バイアスを減らすことができる、というのが「自己肯定化理論(self-affirmation theory)」(Leffingwell et al., 2006)です。

Motivational Interviewing is an evidence-based brief intervention for helping people change problematic health behaviors. The development of motivational interviewing was influenced, in part, by the social psychology literature, especially the concept of psychological reactance. This paper argues for expanding the influence of social psychological processes upon the practice of motivational interviewing by reviewing three relevant processes: defensive bias, message framing, and cognitive-affective ambivalence. Relevant research findings are reviewed and specific recommendations are offered for future research and enhancing the practice of motivational interviewing.

Thad R. Leffingwell, Christopher A. Neumann, Alison C. Babitzke, Melissa J. Leedy
and Scott T. Walters. “Social Psychology and Motivational Interviewing: A Review of Relevant Principles and Recommendations for Research and Practice”. Behavioural and Cognitive Psychotherapy 35(01):31-45, 2006

自己肯定的な活動というのは、自分の生活を変えるための何かの活動、ということですか?

たとえば、不登校だったら、まずは学校の近くまで行ってみる、とか?

細川院長

いえ、変えようとしている生活と直接つながるものでなくても構いません。

「好きなことができた」ということでも自己肯定化できますし、「好きなことが見つかった」という自分の価値に気づくことも、自己肯定化です。

そうしているうちに、「自分にもできるかも」と思えてくるわけですね。

そういうアプローチなら、なんだか私にもできる気がしてきました。

細川院長

できますよ!

私の自尊心まで上がった気がします!

細川院長

では、この知見を臨床ではどう活かせば良いでしょうか?

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