How Can We Help?
行動変化に、ムチは大きいほど有効か?
アメとムチ、どちらが有効かという話で、どちらも有効という話がありました。
その中で、ムチでは、損失回避により損失が大きく認識されるという話でした。
ということは、ムチを使う場合、損失が大きくなる「大きなムチ」の方が効果がある、ということでしょうか?
大きなムチは、その瞬間は効果があります。
映画でよくあるように、「今すぐ~しないと殺すぞ」と言われたら、大抵のことはしますもんね。
その一方、長期的な効果はそうでもないことがわかっています。
確かに、「今ケーキを食べたら殺すぞ」だと言うことはききそうですが、「これから毎日食事制限をして、20年後には体重を20kg落として、糖尿病の薬をやめられるほど血糖値を下げておかないと、殺すぞ」と言われても、ピンとこないですね。
古典的な「禁断のおもちゃ」研究をみてみましょう。
If a person is induced to cease performing a desired action through the threat of punishment, he will experience dissonance. His cognition that he is not performing the action is dissonant with his cognition that the action is desirable. An effective way of reducing dissonance is by derogating the action. The greater the threat of punishment the less the dissonance—since a severe threat is consonant with ceasing to perform the action. Thus, the milder the threat, the greater will be a person’s tendency to derogate the action. In a laboratory experiment 22 preschool children stopped playing with a desired toy in the face of either a mild or severe threat of punishment. The mild threat led to more derogation of the toy than the severe threat.
Aronson, E., & Carlsmith, J. M. (1963). Effect of the severity of threat on the devaluation of forbidden behavior. The Journal of Abnormal and Social Psychology, 66(6), 584–588.
この研究では、厳しいムチで脅された子どもは、あまり厳しくない脅しを受けた子どもに比べて、かつて禁止されたオモチャで遊ぶ率が高かった(77%対33%)ことが判明しました。
厳しいムチはその後、大きな反動を引き起こしたわけです。
わかるかも!
自分も子どものときに禁止されたガンプラを大人になって「大人買い」しましたもん。
つまり、長続きするような行動変化を引き起こしたいなら、ムチは小さめの方が良いわけです。
でも、ムチが小さいと行動変化が起こらなくないですか?
「お小遣いを無駄遣いしたら、来月分はなし」ならまだしも、「おやつ抜き」だったら守らないでしょう?
そうですね。
ですので、コツは短期的な行動を変えられるくらいには大きなムチを選びつつ、長期的な反動が起きない程度に抑えること、ということになります。
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。